CENYAのデビューから1年後、PENAUDIOはSARA S （2.5ウェイ・スピーカーシステム）を発表致しました。このシステムは一般的なアップグレードの手法であるミッドレンジ/ベース・ユニットSEAS EXCEL（160�o）をもう一つ加え、エンクロージャーを拡張して低音域の充実を図ったモデルなのでしょうか。
答えはノーです。

音楽再生において低音域の量感や質感の充実は、スピーカーシステムの改良に大変有効な方法です。しかし、SARA S開発の目的は一般的なサウンドクオリティーの向上 - 周波数特性、ダイナミックレンジ、位相特性等 - ではなくナチュラルな音楽表現性の獲得を目指したものであり、物理特性の上位に位置する技術への挑戦を意味するものです。

SARA Sの特徴は小型スピーカーシステムにウーファーを追加して、低音域の増強を図るのではなく、むしろ限られた帯域に偏らず、より均衡のとれた音楽再生の提供にあります。多くのPENAUDIOスピーカーシステムに採用されているソフトドーム・ツィーターは、一貫してPENAUDIOのサウンドを表現する重要な役割を果たしています。このツィーターとウーファーの絶妙なコンビネーションこそ、PENAUDIOスピーカーシステムの有機的な表現性を可能にしたといっても過言ではありません。

大きくて動きの遅いウーファーも、時として人々に満足度の高い再生音をもたらすことがあります。我々はオーディオが趣味である以上、音楽再生において何が正しいかを論ずる言葉を持ちません。しかしながら、自然な響きや誇張感のない素直な表現性を何よりも大切にしたいと願って設計しています。

ゴージャスな大型のスピーカーシステムも素晴らしいのですが、窓を開けば木の葉が風にそよぐ音が聴こえそうな・・・そんな雰囲気が似合うスピーカーシステムを望まれる方々にSARA S (スペシャル)が巡り会えることを願っています。

ナチュラルで飾りけのない響きは人々の心に安らぎを与え、再現されるサウンドステージは演奏者の気迫と実在感を伴って人々の心の動きを誘います。